30年ぶり 肥満症治療薬「ウゴービ」販売、美容目的はNG…強い副作用も【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

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およそ30年ぶりとなる「肥満症」の患者への新薬の販売が、きょうから始まりました。ただ、ダイエットや美容目的での不適切な使用も懸念されていて、専門家は警鐘を鳴らしています。

■日本人の治験、68週間投与で体重が平均13%減

加藤シルビアキャスター:
2月22日から販売開始となったのは、肥満症治療薬「ウゴービ」です。デンマークのノボノルディスクファーマ社が販売を開始しました。

見た目はペンのような形をしています。先端に針があり、注射のように刺すということです。

ノボノルディスクファーマ社によると、週に1回、腹などに注射をします。▼最大68週間、投与することが可能です。

期待できる効果としては、▼体重や腹囲などが減少するというもの。日本人の治験では68週間投与した方の▼体重が平均13%減少したということなんです。

糖尿病専門医 市原由美江 医師
「肥満症治療薬として、大いに期待できる」

■そもそも「肥満」と「肥満症」はどう違う?

加藤キャスター:
そもそも「肥満」と「肥満症」の違いについてです。

日本肥満学会によると、「肥満」は、太っている状態のことです。病気ではありません。
体重や身長から算出される▼BMIが25以上ある方は、「肥満」に当たります。
BMIの値は、体重(kg)÷身長(m)×身長(m)で出すことができます。

どれくらいの方が「肥満」に該当するのかという調査があります。
2019年の厚労省の調査によると、20歳以上で▼男性の3人に1人、▼女性の5人に1人が、「肥満」に当たるということがわかっています。

対して、「肥満症」は、減量による医学的治療の対象にあたる病気ということになります。
「肥満」の条件に加え、▼高血圧や2型糖尿病などの健康障害が1つ以上あること、もしくは▼内臓脂肪の蓄積があるといった条件に当てはまる方を指します。(日本肥満学会より)

では、肥満症治療薬「ウゴービ」は、「肥満症」という病気の方なら使えるのかと言うと、そうではないそうです。治療開始には、いくつかの条件があります。

〈肥満症治療薬「ウゴービ」の治療開始条件〉
・20歳以上で「肥満症」と診断されていること
・「高血圧」、「脂質異常症」、「2型糖尿病」のいずれか1つに該当すること
・「運動療法」や「食事療法」をしても十分な効果がないこと
・「BMI35以上」もしくは「BMI27以上で、肥満に関連する健康障害が2つ以上ある方」
※糖尿病専門医 市原由美江 医師より

かなりの条件があるということになります。

■効果期待されるも懸念が…

日比麻音子キャスター:
肥満症治療薬「ウゴービ」の期待できるところは、どこでしょうか。

糖尿病専門医 市原由美江さん:
本来、人がご飯を食べたときに小腸から出るホルモンが「ウゴービ」なんですが、尿に直接働くので、食欲抑制効果がかなり強く出ます。

他に、胃腸の動きを弱めるので、満腹感が持続し、結果、体重が減る効果が期待できます。

日比キャスター:
ただ一方で、条件はいくつもあるので、どのような懸念を考えていらっしゃいますか。

糖尿病専門医 市原由美江さん:
条件がかなり厳しくなっているのは、日本の医療費が現在かなり多いので、気安く処方できないように厳しくしてるのはもちろん、糖尿病専門医や循環器専門医など、専門医の資格を持っている者が正しく治療に用いるために、厳しくされているところです。

井上貴博キャスター:
先ほどの(治験の)データで、68週で体重が平均13%減少するということは、約1年4か月で、これだけ効果があるというのは、ものすごく画期的だというふうに感じました。

肥満の割合だと、日本は欧米に比べると少ないと言われてますけど、インスリンの分泌が悪い方が多いというデータもあります。そのあたりで、医師の皆さんにはどのくらい期待されてるものなんですか。

糖尿病専門医 市原由美江さん:
そもそも「ウゴービ」が出る前に、全く同じ成分の他の糖尿病治療薬の段階でも、同程度の体重減少効果があったんです。

今回は「肥満症」に対して、保険適用を取って、治療が必要な適切な方に対して痩せさせましょう、というものなので、効果はかなり期待できます。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
保険適用はこの基準を、ということですが、自由診療の場合は、新薬「ウゴービ」を使うことは可能なんでしょうか。

糖尿病専門医 市原由美江さん:
保険診療だと条件がかなり厳しいですが、自由診療だともう自由に処方できてしまうのが現状です。

■「“ダイエット目的”は、強い副作用もあるので止めて」

加藤キャスター:
その「ウゴービ」ですが、副作用もあります。

〈「ウゴービ」の副作用〉
・冷や汗などの低血糖
・吐き気
・腹痛
・便秘 など
→急性すい炎の可能性も

糖尿病専門医 市原由美江 医師
「専門医師のもと用法・用量を正しく守ることが必要。“ダイエット目的”での使用は、強い副作用もあるため、止めてください」

日比キャスター:
本当にこの薬を必要としている方に届かなくなるという可能…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20240222-6140805)

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