今回の動画の根拠となる引用文献や学術データを下記に残しておきます。
1. 現代の飽食環境は人類の遺伝子にとって「異常事態」である(不一致仮説)
「人間の体は、何百万年もの間『カロリーが制限された環境』を生き延びるために進化しており、近代以降の2000kcalを超えるような飽食環境こそが、肥満や代謝異常を引き起こすバグ(不一致)である」という進化医学の根本的なエビデンスです。
論文名: Evolutionary medicine: its scope and its value.
著者・掲載誌: Nesse RM, et al. / The Lancet (2016)
内容の要約: 人類の身体システムは、過去数百万人におよぶ狩猟採集時代の「食物の不確実性(マイルドなカロリー制限)」に適応して作られています。そのため、人間は少しカロリーが足りない状態(制限期)に対して、体脂肪を燃焼させ、細胞を修復する非常にタフな適応能力を元々備えています。逆に、近代化以降に登場した「毎日安定して高カロリーを摂取できる環境」には遺伝子が対応できておらず、これこそが現代の肥満や内臓疾患の主因である(=少しのカロリー制限で健康を害したり代謝が壊れたりするわけではない)という進化医学の「不一致仮説」を解説した重要な論文です。
2.狩猟採集民は現代病(生活習慣病)とは無縁の健康な体を持っていた
「飽食と運動不足の現代人と比較して、野生に近い生活を送る狩猟採集民は、糖尿病や心臓病などの現代病(慢性疾患)が圧倒的に少なく、高齢になっても健康な血管を保っている」という進化人類学・医学に関する強力なエビデンスです。
論文名: Coronary atherosclerosis in indigenous South Americans: an observational study.
著者・掲載誌: Kaplan H, et al. / The Lancet (2017)
内容の要約: 現代においても狩猟採集や自給自足の生活を続けるアマゾンの先住民族「ツィマネ族」を対象にした大規模な健康調査の論文です。彼らの食事は未精製の炭水化物や野生の肉・魚が中心で、飽食とは程遠い生活ですが、調査の結果、糖尿病、肥満、高血圧といった現代病がほぼ皆無であることが判明しました。さらに、彼らは「世界で最も健康な血管(心臓)」を持っており、80歳という高齢であっても、現代アメリカ人の45歳よりも動脈硬化が進んでいないことが医学的に実証されました。これにより、現代人が抱える多くの病気は、人間の本来の設計(遺伝子)を超えて食べすぎてしまう「近代の飽食環境」こそが引き起こしている病気(進化の不一致)であることが明確に示されています。



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